【ホラー小説書評】他人事/平山夢明
あらすじ
交通事故に遭った男女を襲う“無関心”という恐怖を描く表題作、引きこもりの果てに家庭内暴力に走った息子の殺害を企てる夫婦の絶望(『倅解体』)。孤独に暮らす女性にふりかかる理不尽な災禍(『仔猫と天然ガス』)。定年を迎えたその日、同僚たちに手のひら返しの仕打ちを受ける男のおののき(『定年忌』)ほか、理解不能な他人たちに囲まれているという日常的不安が生み出す悪夢を描く14編。
書評
とにかくエグい。全ての話がエグい。
基本的には人間のどす黒い部分を抽出して濃縮したような話ばかり。
表題の「他人事」は、交通事故でひん死の夫婦を前にとことん無関心を貫く男の話。実際にこういう人がいそうで怖い。ちょっとジョジョ4部の吉良吉影に似てるかも…
「仔猫と天然ガス」は全く意味のない理不尽かつ狂気的な暴力が延々と続くだけの話。作者はいったい何を伝えたいのか、全く理解できない話なのだが、それこそが平山夢明の真骨頂なのかもしれない。
「人間失格」は太宰治とは何の関係もない後味最悪な話。途中までは良い話なんだけど、ある意味期待通りに裏切って最後は最悪な悪意をもって終わる。
14話全て救いは無く、いい話もなく、ただただ胸糞悪くなる話ばかりです。
平山ファンでもちょっとメンタルに来るかもしれません…
なお小説の帯コメントと解説はHUNTER×HUNTERの冨樫義博が書いています。一部抜粋。
人間としてあってはならない黒い部分をこうして活字として読めたことが、僕にはものすごく刺激的だった。
こんな人におすすめ
- とにかくエグい話が好きな人
- グロい表現に耐えられる人
- 理不尽系が好きな人