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【ホラー小説書評】ZOO2/乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫)

あらすじ

 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集その2。目が覚めたら、何者かに刺されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など、いずれも驚天動地の粒ぞろい6編。文庫版だけのボーナストラックとして、単行本に入っていなかった幻のショートショート「むかし夕日の公園で」を特別収録。

 

書評

乙一による色々なジャンルのショートストーリーを集めた短編集その2。

以前紹介したZOO1とは少し異なりポップな雰囲気の話が多め。とはいえグロい表現やえげつない終わり方をする話は顕在で、さすがは「乙一ワールド」といったところか。

今回も各ストーリーで「黒乙一」「白乙一」で分類していきます。

 

①血液を探せ!:?

痛みを感じない体質の資産家が、眠りから起きると腹に包丁が刺さっていて、犯人を捜す話。とにかく登場人物が変な人ばかりで、ボケ老人の医者、露骨に遺産を期待している妻、アホな息子たち…そのおかげで終始喜劇のような感覚で読める、シンプルなミステリー。

 

②冷たい森の白い家:黒!真っ黒!

カオスな話です。

奴隷のように扱われた子供が家を追い出されて山の中で暮らし、人を殺してその死体で家を作るという話。…意味が分からんですなあ(´・ω・`)

短い文章で淡々と進んでいくので、一気に読見終えることができる分、読み終わった後に「なんだこの話は…( ゚д゚ )」となること間違いなし。

 

③Closet:?

シンプルなミステリーですね。ネタバレになるので特に内容は描かないですが、白でも黒でもない普通のトリック小説です。

 

④神の言葉:黒

自分の言ったことが、どんなことでも実現される少年の話。その力を多用するあまり、どんどん取り返しのつかない状況なってしまい、最終的にはとんでもないことになってしまう。人間の闇を描いたブラックな話。

 

⑤落ちる飛行機の中で:黒

これが一番面白い。

ハイジャックされた墜落しそうな飛行機の中で行われる、セールスマンと女の全く緊張感のない会話が大部分を占める話。死ぬなら痛みを感じずに死にたい女に対して、死ぬ前に一度でもいいから高いものを売りたいセールスマンが安楽死できる薬を売ろうとする。

登場人物がみんなどこか間抜けで面白い。

 

⑥むかし夕日の公園で :黒

ものすごく短い話。不思議でちょっと怖い。

こんな人におすすめ

  • ミステリーが好きな人
  • ホラー小説初心者