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【ホラー小説書評】60秒の煉獄/大石圭

60秒の煉獄 (光文社文庫)

あらすじ

「あなたに特別な力を授けます」。天使か悪魔か―謎めいた美少女が人々に授けたのは、たった1度だけ時間を1分間止める能力だった。世界のすべてが静止する60秒。誰にも知られず、邪魔されることもなく、思うがままにどんなことでもできるのだ。大金を強奪する。憧れの女性を恣にする。憎い男を抹殺する…。欲望と妄念に翻弄される男女の姿を描く、異色連作集。

 

書評

人生で一度は必ず妄想したことがある「時間を止められる力」を、突然手に入れたら人間はどういう行動に出るか?設定は非現実だけど内容は現実的な大石圭の短編集。

 

色々な境遇の10人が力を与えられるんだけど、力の使い道が多種多様。とんでもなく残虐でゲスなことに使ったり、とても素晴らしいことに使ったり、あるいは意図せず使ったり…60秒という微妙な時間制約が使い道を悩ませる。

ただ共通するのは「力を持つ」ということが人をどう変えるか、ということが生々しく描かれているところ。強い力を持つと欲望や本性が出てくるということがヒシヒシと伝わりましたわ。

 

大石ファンとしては、全部残虐な使い道でもよかったんだけど笑

 

こんな人におすすめ

・「自分ならどうする?」と妄想しながら読むのが好きな人

・人間の本性が出る話が好きな人

大石圭ファン