【ホラー小説書評】アンダー・ユア・ベッド/大石圭
あらすじ
ある雨の降る晩。突然、僕は佐々木千尋を思い出した。19歳だった彼女と僕がテーブルに向き合ってコーヒーを飲んだこと。彼女の亜麻色の髪、腋の下の柔らかそうな肉、八重歯、透けて見えたブラジャーの色や形…9年も前の、僕の人生のもっとも幸福だった瞬間―。そして僕は、佐々木千尋を捜してみることに決めた。もう一度、幸せの感触を思い出したいと願った―。それは盲目的な純愛なのか?それとも異常執着なのか?気鋭が書き下ろす問題作。
書評
冴えない主人公の男が、昔好きだった女性のストーカーになる。盗聴器を仕掛けたり実際に忍び込んで表題のようにベッドの下に隠れたり、かなり異常な主人公ではある。
ただそれ以上にその女性の夫が異常。吐き気がするほどの支配欲に駆られたDV男で、その女性に酷い暴力をふるっている。その状況をストーカー男は盗聴器で知り、女性を助けたいと思うが…
大石圭の小説の中で最も「主人公を応援したくなる」小説です。結構人気もあります。
もちろんストーカーなので犯罪者ではあるんだけど、彼を動かすのはシンプルな「純愛」なのよね。「ただ一緒にコーヒーを飲みたい」だけなのよね。うん(´;ω;`)
ストーリーはけっこうスピーディーに展開するし、何度も「あぁもう少しで助けられるのに…」とか「あぁばれちゃうよ…」みたいにハラハラするシーンがあるので、一気に読めちゃうと思います。
こんな人におすすめ
- 純愛系が好きな人
- 冴えない主人公が頑張る話が好きな人(電車男系?)
- ハラハラする展開が好きな人