こわいものみたさ|おすすめホラー小説の書評

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【ホラー小説書評】鼻/曽根圭介

鼻 (角川ホラー文庫)

あらすじ

 人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが…。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。大型新人の才気が迸る傑作短編集。

書評

 「世にも奇妙な物語」に理不尽度・エグさを増したような感じの短編集。全てスピード感のある話で一気に読めるし、オチが予想できないので最後まで楽しめる名作。

 

①暴落

人間が「人間の株価」で評価され、全ての行動や評判が株価に影響する世界。エリートの主人公の株価が暴落していくにつれて周りからの扱いがどんどん変わっていく話。

昔の「世にも奇妙な物語」のブラックな話に出てきそうで、すぐに話に入っていける。

最後のオチはなかなかエグく、(私は好きですが)苦手な人はショッックを受けるでしょう。救い無し。

 

②受難

超絶理不尽ストーリー。主人公が気づいたらビルの隙間に拘束されていて、外に出られないし助けも呼べない状態。シチュエーションとしてSAWに似てるかな。

何人か目の前に現れるんだけど、これが全員信じられないくらい話が通じない。というか頭がおかしい。主人公に感情移入すると、この頭おかしい人たちに対してイライラが止まらなくなります。いいから助けろよと。

設定は3つの中でこれが一番好きですね。(SAW好きだし)

 

③鼻

鼻のあるブタと鼻のないテングという人種に分かれている世界。なぜかテングの方が迫害され差別を受ける世界。そこでテングをブタに転換させる手術をする医者が主人公。

途中からもう一つ、少女行方不明事件を捜査する刑事の話が始まって並行してストーリーが展開していく。

最後のオチはビックリすると思います。「えっどういうこと?」で最初はなるかもしれないけど、解説を読むと理解できるかと。

詳細はネタバレになるので書けないから、とにかく読んでください。

 

こんな人におすすめ