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【ホラー小説書評】人を殺す、という仕事 /大石圭

人を殺す、という仕事 (光文社文庫)

あらすじ

 僕のもとにある日届き始めた一通の手紙。そこに書かれた指示に従うことで、僕の人生は驚くほど順調だった。手紙のお陰で、今後も幸福な人生が続くと信じていた。それが「殺人」を命じるまでは。従わなかった結果―母が死んだ。次は妻や娘たちの番だというのだ。あどけない少女、臨月の妊婦…僕は次次と手を血に染めていく。邪悪で美しい、傑作「暗黒小説」。

 

書評

 「ホラー小説」かどうか怪しいですが、とにかく理不尽な小説です。

 

2人の娘がいる父親の下に、<C>という名の人物から定期的に手紙が来る。内容は「○○を殺せ、さもなくば娘の命が…」のような内容。過去にこの手紙に逆らったせいで母親と妻を亡くしているので、従わざるを得ず次々と殺人を犯していく…という世界観。

 

大石圭にしては珍しく「超自然的存在」というか、普通ではありえない現象が発生する(主人公しか知りえない情報が手紙に乗っている、手紙の通りに殺人を遂行すれば絶対に捕まらない、など)ので、ちょっと異色の作品という印象。

 

また、各章の冒頭にある絶滅動物とそれが絶滅した理由(ほぼ人間の悪行が原因)の記述は個人的には面白い。メッセージとしては「人間は生きているだけで罪なのである」

 

オチもちょっと弱くすっきりしない読後感があるが、「60秒の煉獄」のような理不尽な殺人シーンが好きな人にはオススメです。

 

こんな人におすすめ

  •  理不尽モノが好きな人
  • 超自然的存在をすんなり受け入れられる人
  • ふわっとしたオチに耐えられる人