【ホラー小説書評】死人を恋う/大石圭
あらすじ
(クリスマス・イヴに死のう)人里離れた山林に死に場所を求めた「僕」の前に、一台の車が現れた。やって来たのは、自殺サイトで知り合ったらしき男女6人―。彼らの最期を陰から見届けた僕は、その中の一人の美少女に目を奪われた。彼女のあどけない死に顔が、僕の冥い欲望に火をつけた…。人間の深い業を描き、戦慄の世界へと誘う衝撃の書。
書評
倫理的にやばい話です…なのであんまりストーリーには触れないでおきます。
主人公は大石作品の中では弱々しいタイプ。「アンダー・ユア・ベッド」の主人公に似ているかも。やってはいけないことはわかっているけど止められない、自分の本能(この小説で言えば性欲)に抗えない弱い人物として描かれてます。
ただその中でも、死体と一緒に出かけるシーンのように狂気的な部分も描かれているし、その一方で純愛を感じられるシーンが描かれている。この両極端な描き方が大石作品の真骨頂という感じがします。
読んでいくとオチに色々期待することもあるでしょうか、いい意味(いや悪い意味か…)で裏切られます。自分はこういう終わり方は嫌いじゃないです。
こんな人におすすめ
- アンダー・ユア・ベッドが好きな人
- 倫理的にやばい話が好きな人